商売成立条件・採算性分析

商売成立条件・採算性分析

目次

  • 事業の特性を考える
  • 初挑戦での失敗あるある
  • 収益構造を理解する
  • コストとレベニューの最適なバランス
  • ラーメン屋の秘密
  • Tips

事業の特性を考える

みなさんもご承知のとおり、世の中には色々な事業があります。たとえば、コーヒー屋さん、コンビニエンスストア、ファミリーレストランなど、身近な町にも実にさまざまな事業が出店しています。

 例えば、京都の観光名所を想起いただくと、週末の観光地周辺では、お客様が入れ替わり立ち代わりで賑わいをなしているお店があることは、想像に難くありません。

 一方、町のラーメン屋さんを想起いただくと、平日か休日かを問わず、お客様が少ないにも関わらず、十数年続いていて、なぜか分からないけど儲かっているのかな・・・?と思ったご経験のある方も多くいらっしゃるかと思います。

初挑戦での失敗あるある

 筆者である私は、サラリーマン時代より、一貫して「地方の活性化」を検討しておりました。その切り口として、ロボティクスベンチャー、AIベンチャーの事業会社にて実務経験を積みました。その後、自分自身でも事業を行いたいと思うようになり、地方に関連した1つのsmallビジネスを起こし、ゆくゆくはフランチャイズ化に向けて、などと妄想をしておりました。

 結果からお伝えすると、このアプローチは見事に失敗するわけですが・・・・失敗から学べることは多々ありました。ここでは、私の個別具体的な失敗経験をもとに、失敗からの学び、とりわけ、今後に活かせる普遍的な要素を抽出し、みなさまに共有したいと思っております。

収益構造を理解する

 言うまでもなく、商売を成立させるためには、「コスト=費用」と「レベニュー=売上」をどうバランスさせるか、ということが最大のポイントになります。当たり前すぎて見過ごしがち、となりますので、常にこの2つの概念をどのようにバランスさせるべきか、という点を意識するようにしましょう。

  • コスト3兄弟
  1. 原材料
  2. 家賃
  3. 人件費
    ※ロイヤリティ(フランチャイズビジネスの場合)
  • 目指すべき利益

 コスト3兄弟とロイヤリティーも踏まえ、これらのコストを差し引いて売上の「10%」の税前利益が出ているビジネスであれば、それはすばらしい事業であると思います。当然ながら、黒字であるから、倒産しないというわけではないのですが・・・それはまた別途お話させていただきます。

では、どのようなバランスが一番よいのでしょうか?

コストとレベニューの最適なバランス

 結論から言うと、「事業や業界による」ということになりますが、それでは元も子もないので、具体的に、業界や業務の仕方をイメージしながら、一緒に解像度を高めていきましょう。

  • IT業界・ビジネスの場合

 IT事業の場合、受託業務がメインとなるのであれば、原材料=人件費であり、家賃はかかりません。なので、IT事業や人材・不動産仲介業などは、あるていどの売上があれば、人件費をカバーできるというのが一番大切になってきます。

  • 不動産ビジネスの場合

 不動産開発事業の場合、初期の準備段階から、多額のお金を集めていくことが必要となります。すなわち、「原材料」が購入した土地や家屋・ビルなどになるということになります。収益構造としては、仕込みして、いつか売れると大きな利益を得ることができるビジネスとなるので、開発・投資ビジネスともいいます。

  • コンサルティングビジネスの場合

 コンサルティング事業の場合、コンサルタントの「人件費」のみがコストとなるので、コスト構造という意味において、最もリスクは軽減されているように思えます。すなわち、国際・国内の情勢に左右され原材料の価格変動が生じる、などという不確実性が低い業態と言えます。私のような、資本・資産を持たない者でも、挑戦しやすい事業となります。

  • 物販ビジネスの場合

  物販事業の場合は、(わたし自身がものすごく興味・関心が高いビジネスでしたので、自分であれば絶対に)うまく販売できる、成功するに違いないと思っていましたが・・・。実際には、予想していたほどに売上が伸びず、コスト3兄弟でおなじみ、「家賃」+「人件費」が固定的にかかり続ける、ということで、コスト過多になってしまいました。

【失敗要因の分析】
 ① 「売上」見積りの甘さ
 ② 「コスト」見積りの甘さ

 私の失敗談をお伝えすると、好きで始める事業ゆえに、売上根拠を甘く見てしまい、物販事業を継承してしまった、という反省があります。加えて、家賃および人件費が本当にこのコストで事業が成立するのか?という精査=デューデリジェンスが甘かったことも失敗の原因でした。

ラーメン屋の秘密

これまでの情報を整理するために、まずは、以下の問に対する答えを一緒に考えてみましょう。

 Q.町の(ごく一般的な)ラーメン屋さんが潰れないのはなぜでしょうか?

 コスト3兄弟が「事業成功の鍵」を握ることを学んできましたね。町のラーメン屋さんのコストのほぼすべてが「原材料(小麦など)」であるから、というのが端的な回答となります。

 少し解説を加えると、「家賃」はかかっておらず(=自分の家)「人件費」もかからない(=自分の家族)ビジネスモデルにデザインされている、ということです。すなわち、最小限のコストで事業実施できることが、町のラーメン屋の存続のひとつ大きな要因だと考えられます。

 では、一つ駒を進めます。例えば、ラーメン事業を拡張する(店舗拡大する)場合は、いかがでしょうか。ご想像のとおり、追加で「家賃」や「人件費」を支払う必要が生じます。場合によっては、「ロイヤリティ」を支払う必要も生じます。

 ここで、新たなコスト概念として「ロイヤリティ」が登場しましたので、具体例を交えて解説します。有名なラーメンチェーン店を頭に思い浮かべて下さい。本社運営サイドは、店長となる者に対して「仕組み(製麺技術、秘伝のスープなど)」を共有しています。その対価として、店長からロイヤリティー=マージンを取っています。すなわち、コンビニをはじめ、地方でよく見かけるチェーン店のオーナーは、本社に対して支払う「ロイヤリティ」が固定費になっている、ということです。

Tips

 要するに私たちは、事業の要件を決して「甘く」見積もるつもりはなく、いわば「厳しく」見積もっている(つもりだ)としても、想定通りにはいかないのがビジネスだということです。少なくとも、キャッシュフローの分析・作成をしっかり行い、何が事業のドライバーであり、ボトルネックであるかを考えておくことが肝要です。

 Biz羅針盤では、事業のキャッシュフローを簡単に試算できるフォーマットを準備しております。以下より、ダウンロードいただくことができますので、ぜひ一度、ご自身のビジネスが、事業として成立するのかご確認いただければと思います。

01_1_1_事業計画_フォーマット.xlsx

01_1_1_事業計画_フォーマット.pdf

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