目次
- 市場参入時の検討事項
- TAMとは何か
- SAMとは何か
- SOMとは何か
- Tips
市場参入時の検討事項
何か新たな事業に挑戦する際「どのような市場に参入すべきか」という点は、極めて重要でありながらも、意外に見過ごしがちです。自分でやりたいこと、できること、を前提に事業立案を進めることが多いのではないでしょうか。
いわゆる「参入障壁」に関する考え方については、こちらの記事も参考になりますので、ぜひご一読ください!
さて今回は、市場への参入を検討する際に役立つ、TAM、SAM、SOMという3つの概念があるので、それぞれの考え方、頭の整理方法について、ご紹介させてください。
TAMとは何か
TAMとは、『ある市場で獲得できる可能性のある最大の市場規模』のことで、『Total Available Market』の略です。具体的には、ある製品・サービスが100%の対象となる市場を獲得した際に、得られるであろう概算(架空・机上)の年間収入を表すために使用されます。
TAMにはそれぞれ、以下の意味があります。
・TAMが意味すること
- Total:全体の
- Available:利用可能な
- Market:市場
要すると「TAM=事業自体が持っている最大規模のポテンシャルを把握できる指標」と解することができます。ポイントは、①実現可能な最大市場規模を計測することで、いま現状に存在する市場だけではなく、②将来的な市場の意味合いも含む、という点になります。
すなわち、1年間の市場全体でどれだけのお金が動くのか、という概算の規模感を把握し、市場参入メリットがどれだけあるのかを比較考慮する観点で役立ちます。
・TAMの対象範囲
- 同一の製品・サービスであっても、異なるアプローチであるものは含まれる
- 異なる製品・サービスであっても、同一の市場であるものは含まれる
上記のとおり、多くを包含する幅広い対象を前提にした市場規模となります。直接的ではないけれど、間接的なライバル(競合)も把握できるところが大きな特徴です。つまり、同じニーズを満たす「代替品」についても、商品の市場規模の中に含まれる、ということになります。
・TAMの具体例
例えば、SaaS系のビジネスで市場参入を検討する場合、TAMで分析する時点においては、①業界型のSaaS、②水平型SaaS、その詳細区分を問わず、SaaSという大きな括りが市場規模の中に入ってきます。
また、TAMの活用シーンですが、基本的には、投資家および外部協力者に対して、自分の事業領域が魅力的であることを伝えるための数値、と理解する良いと思います。自社が行っている事業で、これだけのお金が動いているということを、分かりやすく伝えることができます。
SAMとは何か
SAMとは、『Serviceable Available Market』の略で、顧客セグメントの需要を示す指標です。具体的には、TAMの中でターゲティングした部分の需要を表しています。その市場に関わる、特定の製品・サービスが獲得し得る市場規模のことです。
・SAMが意味すること
- SAM:自社が関わる市場のみに限定したときのポテンシャル評価
cf. TAM:製品・サービスに関わる市場の全てが分析対象
TAMの場合、現時点でもっとも「非現実的な市場規模」を数値化したものであります。すなわち、実際は同じ事業領域であっても、現実的に自社では実現できない製品・サービスも含まれる、ということです。
SAMの場合、このような非現実性を排除して、より現実的かつ具体的に、自社の製品・サービスが持っているフルポテンシャルを明示した指標、という意味で重宝すべき数値となります。
SOMとは何か
SOMとは、『Serviceable obtainable Market』の略です。実際に、製品・サービスを持って市場に参入したときに、自社でアプローチして獲得できるであろう市場規模を表した数値を示します。換言すると、いわゆる企業でも重視される、”自社の売上目標”となります。
- SOM:自社がアプローチ可能な市場範囲に限定したときのポテンシャル評価
cf. SAM:自社が関わる製品・サービスの市場が分析対象
これは、世に言うビジネス用語としては『シェア率』と呼ばれる指標となります。すなわち、SOMは自社が実際に到達できる市場規模を示したもっとも現実的な数値となります。企業によっては、この指標が、そのまま「売上目標」として扱われることもあります。
Tips
ここまで、TAM、SAM、SOM、という3つの指標が意味することを確認してきました。重要なことは、誰に対して、どの指標を提示すべきか、を慎重に判断する必要があることです。
例えば、対投資家などビジネスの成長性を説明すべき場合にはTAMを活用し、競合他社(製品)との比較においてシビアに調査分析を行い、社長へ判断を仰ぐ場合にはSAM/SOMを活用するなど、説明する相手によって、数値としての”見せ方”を工夫することが肝要になります。