開発内容の決定

開発内容の決定

目次

  • 商売成立条件の復習
  • 考察①:飲食事業で考える
  • 考察②:保育事業で考える
  • 考察③:IT事業で考える
  • ビジネスの特性を把握する
  • Tips

商売成立条件の復習

 前回のブログ記事にて、商売が成立するための条件には、いろんな側面があるとお伝えしました。詳細については、こちらの記事をご参照下さい。

  こででのポイントを復習しておきます。商売が成立し採算が取れる事業というのは、どのような業態のビジネスでしたでしょうか。少しブレイクダウンすると、具体的に、どのようなビジネスを手掛けるのかすなわち開発するための資金および内容、によって異なります。

  次に、コストの3大要素を復習します。「コスト3兄弟」を覚えていますね?

  1. 原材料
  2. 家賃
  3. 人件費
    ※ロイヤリティ(フランチャイズビジネスの場合)

 1つ目は、原材料です。2つ目は、家賃です。3つ目は、人件費です。フランチャイズビジネスの場合、ここに、ロイヤリティが加わります。

 ここまで復習した知識を前提に、ビジネスを始める際に、「開発内容」とは何か、具体的にはどのように検討するのが良いのかについて、3つの異なるビジネスを通じて考察していきます。

考察①:飲食事業で考える

 例えば、自分自身で「飲食店」を営むことを考えてみましょう。どのようなビジネスか、イメージしやすいのではないでしょうか。飲食店のオーナーとして、必要となる行動は何でしょうか。

 どのような「商品(メニュー)」を提供するか、すなわち「商品の開発」が必要となります。では、仮に、他の店舗には存在しない「良い商品」を思いついた、としましょう。

 では足元では、飲食店のオーナーとして、どのようなコスト管理が求められるでしょうか。提供する商品の「原材料」に3割、提供場所としての「家賃」に3割、店を回すための「人件費」に3割、とざっとこのようなコスト構造になるのではないでしょうか。

 何が言いたいかというと「開発する商品が何か」を決定したとしても、そこに大きなコストが伴うということではなく(開発費は小さい)、日々のオペレーションコストが重くのしかかる(コスト3兄弟は大きい)という現実を直視すべきだ、ということです。

 商品については、日々の試行錯誤によって少しずつ改良を重ね、営業・販売することが良いと思います。すなわち、「開発コスト」に莫大な投資をする前に、基本に忠実に「固定コスト」をしっかりと試算し、採算性が合うかを検討すべき、ということです。

考察②:保育事業で考える

 次に、がらっと業界を変えて、日本の社会課題ともいえる「子育て支援」に興味・関心を持ち、「保育園」を経営するケースで考えてみましょう。新規参入を検討する、保育園オーナーとして、まず取るべき行動は何でしょうか。

 飲食店における「商品の開発」は、保育園においては「入園希望者の開拓」と言えます。すなわち、参入する土地周辺の環境調査/市場調査が必要となります。

 具体的には、所属する自治体の待機児童数(=保育園ニーズ)を調査し、物理的にどれぐらいの床面積が必要となるか(=各クラスの規模感)、その土地周辺に実務を担える保育士がどれだけ存在しているか等も総合的に勘案し、事業計画を策定するということです。

 なお、保育園の運営に際しては、厚生労働省または内閣府の設立認可を要するため、いわゆる規制産業となります。また、事業の性質上、①保育室・調理室・園庭などのハードインフラの整備と、②保育士・調理師・看護師などの専門職スタッフの確保というソフトインフラの整備の両面から、イニシャルコストが大きくなる特性である、と言えます。

考察③:IT事業で考える

 最後に、近年の流行りともいえる、IT事業について考えてみましょう。一口にITと言っても、具体的にシステム開発なのか、プログラミングなのか、WEBデザインなのか、実務レベルに落とし込むと様々ありますが、みなさんがイメージしやすい業務で考えてみて下さい

 ITサービスは、基本的には「人件費」が主要コストとなります。他方、少し専門的な話をすると、会計上科目としては、ソフトウェア勘定として、無形固定資産等で整理され、そのサービスを開発することになります。

 すなわち、資金を投じる対象という意味において、①アイデア、②ノウハウ、③ニーズ、という3つの観点から、どういうビジネスで、何が稼げるかということを考え抜いて、初めてビジネス特性に即した「投資」となる、ということです。

ビジネスの特性を把握する

 上記では、それぞれ異なるビジネスにおける特性について見てきました。それはなぜかというと、ビジネス特性を把握することなしに、「予算」や「計画」を立案することは困難だからです。

 予算や計画が立案できなければ、「資金」がいくらあっても足りません。いずれ資金がすり減り、キャッシュフローが崩壊することが目に見えています。それゆえ、ベンチャー企業などは、もっとも確からしい「計画」を立案し、上手にプレゼンテーションすることで、事業スケールの可能性を投資家に訴求していきます。

 2018年以降は、日本においても「ベンチャーブーム」が到来し、AI・ロボティクスの分野において、数多くの企業が誕生しました。一方で、なかなか成長せず、または、すでに倒産している企業もあります。

 ここでお伝えしたいのは、決して事業計画が悪かった訳ではない、ということです。すなわち、ベンチャービジネスの特性として、大きな飛躍の可能性がある半面、事業が成長しないという不確実性も兼ね備えている、ということになります。

Tips

 今回の記事では、事業の開発内容を決定するためには「事業の特性」を理解することが重要であることを学びました。ビジネスする上で避けることのできないリスク(リターン)と対峙するなかで、何を事業のセンターピンとして、利用書(消費者)に遡求していくのか、ということがポイントとなります。

 少なくとも、キャッシュフローの分析・作成をしっかりと行い、何が事業のドライバーとなり、何がボトルネックとなっているのかを熟慮し、商品・サービスの内容を開発していくことをおすすめします。

 Biz羅針盤では、事業のキャッシュフローを簡単に試算できるフォーマットを準備しております。以下より、ダウンロードいただくことができますので、ぜひ一度、ご自身のビジネスが、事業として成立するのかご確認いただければと思います。

01_1_1_事業計画_フォーマット.xlsx

01_1_1_事業計画_フォーマット.pdf

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